星磨き

 たける叔父さん、お元気ですか?私はもちろん、元気いっぱいです。
 さて、私はこの夏からアルバイトを始めました。とても変わったお仕事です。何だと思いますか?―――なんと、星磨きというお仕事です。そう、あの夜空の星を磨いているんですよ!スゴイでしょ?
 この星磨き、とっても重要な仕事なんですって。実は星の正体って人の夢だって知っていました?たくさんの人が描く将来の夢や希望が輝き出して夜空に光る星になるのだそうです。
 つまり夢が生まれると星が生まれ、星が消えると夢も消えているわけです。
 だけども……このところあまりに大気汚染がひどいので、夢まですっかり汚れてしまったらしいんです。それで星を一つずつ磨いて夢を綺麗にし始めたのだとか。放っておくと、小さい夢なんかすぐ消えてしまうんですって!
 確かに、仕事をしていると、小さな星が生まれては消えていくのをちらちら目にします。私も頑張って磨いてはいるものの、黒く淀んだ汚れはなかなか落ちてくれません。磨かないといけない星は多いし、なんだか気ばかりすごく焦ります。仕事が終わると手はもう痛くて痛くてヘトヘト。きっと根本的な問題――大気汚染――を治さない限りダメなのかも知れませんね。それでも、一つ一つの星に込められた想いはとても大切な宝物だから、今、こうして少しでも守ることができればいいなあと思ってしまうわけなんです。
 考えてみれば、星が空いっぱい輝いていた昔の時代って、本当に幸せだったんですね。数え切れないほどたくさんの明るく輝く夢や希望が溢れていて。
 たける叔父さん。
 そのうち一度、この星磨きの仕事、見に来て下さい。小さな汚れた星が再び明るく光りだすのを見るととても感動しますヨ。

 追伸

 先日、なんだか汚れに強そうな小さな星を見つけました。もしかしたらこの星が私の星かななんて思っています。いつか空いっぱいにキラキラと星を輝かせよう!という私の夢の……。